ロシア発A7A5ステーブルコイン、制裁をものともせず世界ランキングトップに躍進

デジタル金融界に予期せぬ展開が起きた。キルギス発のあまり知られていない**ルーブル連動型ステーブルコイン「A7A5」**が、ライバルを追い抜き、流通する非米ドルステーブルコインの中で最大規模となった。
同トークンの時価総額は約5億ドルに達し、非ドルステーブルコイン市場全体の40%以上を占める。
制裁下での急成長
A7A5は国際的制裁の中心にありながら台頭している。今年初めにローンチされたこのトークンは、キルギスの銀行に保管された法定通貨預金で裏付けられたロシアルーブルのデジタル版として設計された。プロジェクトはドルシステムからの金融的自立を目的とし、SNS上で「単なる通貨代替ではなく、世界的変革の原動力」と主張している。
論争と疑念
しかし、成功の影には論争がある。西側規制当局は、A7A5を制裁対象ロシア関連企業と結びつく金融商品と非難している。ブロックチェーン調査では、運営がGrinexに関連していることが判明。この取引所は、かつて米財務省の制裁を受けたモスクワ拠点のGarantexの代替として設立されたとされる。さらに、**国営ロシア銀行Promsvyazbank(PSB)やモルドバの実業家イラン・ショア(Ilan Shor)**との関係も指摘されている。
市場での躍進
こうした疑惑にもかかわらず、プロジェクトの勢いは止まらない。9月25日、A7A5の時価総額は1日で3.5億ドル以上増加し、ユーロ連動のEURCを抜いて最大の非ドルステーブルコインとなった。この急成長は、シンガポールで開催されたToken2049カンファレンスでのプロジェクトの注目度向上と時期を同じくしており、業界関係者の関心を集めつつ、コンプライアンス専門家の眉をひそめさせた。
規制上の懸念と地政学的影響
制裁以外の懸念もある。Centre for Information Resilience(CIR)の新報告によると、A7A5取引の約80%が中国経由で処理されており、ロシア関連企業と中国企業間の取引を支援する役割が増していることが示唆される。同報告は、ナイジェリアやジンバブエに運営拠点を確立するなど、アフリカ市場への進出も確認しており、非ドル決済システムへの関心が高まる地域での展開が進んでいる。
非ドル経済の象徴としてのA7A5
背景が不透明であるにもかかわらず、A7A5はデジタル通貨における西側支配への金融的抵抗の象徴として位置付けられている。その急速な成長は、世界のステーブルコイン市場が地政学的線に沿って分裂しつつあることを示しており、ドルではなくルーブルが米国の影響を超える代替デジタル経済を支える可能性を浮き彫りにしている。
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