クリプトとフィンテック、データの自由を守るために連携

アメリカのフィンテック業界と暗号資産業界が、伝統的な銀行による「権限の奪取」を阻止するために手を組んだ。
両業界団体は、消費者金融保護局(CFPB)に対し、個人ではなく銀行が金融データを支配している現状を改め、個人が自らのデータを管理できるようにする規則を確定せよと求める書簡を提出した。
この書簡には Blockchain Association、Crypto Council for Innovation、Financial Technology Association、American Fintech Council などが署名。
メッセージは明快だ — 「オープンバンキングは既存銀行の保護ではなく、消費者の力を解放するためのものだ。」
データ所有権を巡る攻防
焦点は 「個人金融データ権規則(Personal Financial Data Rights Rule)」 にある。これはドッド・フランク法1033条に基づき、消費者が自分の金融情報を第三者サービス(フィンテックアプリや暗号資産ウォレットなど)と共有する方法を定めている。
連合はCFPBに対し、「米国市民は、承認したプラットフォームと自由にデータを共有する権利を持つ」という原則を法的に明確化するよう求めた。
また、データアクセス料金の禁止を維持するよう強調した。銀行がAPI接続に対してフィンテック企業に料金を課すことは、「イノベーションへの攻撃」であり、「消費者の選択肢を奪う行為」だという。
すでに1億人以上の米国人がオープンバンキングを活用した取引や支払いサービスを利用しているが、業界団体は「大手銀行が支配力を維持するためにオープンバンキングを後退させようとしている」と警鐘を鳴らした。
大手銀行、CFPBの動きに抵抗
オープンバンキング規則は2024年10月に正式化され、標準化されたAPIを通じて消費者が安全に口座データを共有できる仕組みだ。英・ブラジル・EUではすでに成功している。
しかし米国では、銀行ロビーが激しく反発。Bank Policy Institute(Wells Fargo、JPMorgan Chase、Bank of Americaなどを代表)は、規則がサイバーリスクと過剰なコストをもたらすとして訴訟を起こした。
さらにBloombergによると、JPMorganはフィンテック企業にデータアクセス料を課す計画を立てており、これはCFPBのオープンバンキング方針に真っ向から反するという。
暗号業界、金融ゲートキーピングに反発
今回のCFPB宛書簡は、デジタル資産業界による広範な運動の一部でもある。業界は「銀行が意図的に改革を遅らせ、手数料を設けてイノベーションを阻害している」と主張する。
8月には、**Gemini共同創業者タイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)**ら80人以上のフィンテック・暗号資産企業の経営者がホワイトハウスに書簡を提出し、「銀行によるデータ支配の試みを阻止してほしい」と訴えた。
Banks want to gut the Open Banking Rule (1033) so they can tax and control your financial data and remove your freedom to choose the services you want. This is bad for crypto and financial innovation in America.
Now is your chance to speak up by submitting a comment letter (link…
— Tyler Winklevoss (@tyler) October 20, 2025
パブリックコメント、最終段階へ
CFPBによる規則の最終審査期間は今週水曜日に終了する予定だ。正式に発効すれば、伝統的銀行システムと分散型金融(DeFi)、暗号取引アプリ、AI金融ツールをつなぐ次世代金融フレームワークが確立されることになる。
フィンテック業界は警告する。「もし規制当局が銀行の圧力に屈すれば、米国はデータイノベーションで世界に遅れを取る」と。
一方、規則が維持されれば、数千万人のアメリカ人に新たな金融アクセスをもたらし、オープンバンキングはフィンテックと暗号革命の基盤となるだろう。
本記事の情報は参考情報として提供されるものであり、金融・投資・取引に関する助言を構成するものではありません。Coindoo.comは特定の投資戦略や暗号資産を推奨・支持するものではありません。投資判断を行う前には、必ずご自身で調査を行い、有資格の金融アドバイザーに相談してください。





